脱毛のコース契約では、お客様は契約から8日以内ならクーリング・オフができます。2022年6月1日からは、はがきなどの書面だけでなく、電子メールなどでも通知できるようになりました。この記事では、2026年の今のルールと、サロン側が準備しておくことをまとめます。
クーリング・オフが関係するのはどんな契約?
脱毛サロンのコース契約や回数券は、特定商取引法(特商法)の「特定継続的役務提供」に当たることがあります。エステティックの場合、対象になるのは次の両方を満たす契約です。
- 提供期間が1か月を超える
- 契約金額が5万円を超える
この条件に当てはまる契約では、お店は概要書面と契約書面を渡す義務があり、お客様はクーリング・オフや中途解約ができます。1回ごとに払う都度払いは、ふつうこの条件に当てはまりません。
特商法の全体像は「脱毛のコース契約と特定商取引法」で解説しています。

クーリング・オフの基本ルール
期間は書面を受け取った日から8日以内
法律で決められた書面(契約書面)を受け取った日から数えて8日以内なら、お客様は理由を問わず契約を解除できます。受け取った日を1日目と数えるので、月曜日に受け取れば翌週の月曜日までです。
施術を受けていても、お客様の支払いはゼロ
クーリング・オフの場合、すでに施術を受けていても、お客様はその分の代金を払う必要がありません。お店は受け取ったお金を速やかに返します。ここが、後で説明する中途解約との大きな違いです。
関連商品もあわせて解除できる
コースと一緒に化粧品などの関連商品を売った場合、その商品もあわせてクーリング・オフできます。ただし、化粧品や健康食品などの消耗品を、お客様が使ったり消費したりした場合は対象外になります。
2022年6月1日に変わったこと:電子でも通知できる

2021年に成立した改正特商法が、2022年6月1日に施行されました。脱毛サロンに一番関係するのは、クーリング・オフの通知の方法です。
| 改正前 | 2022年6月1日から | |
|---|---|---|
| 通知の方法 | 書面(はがき・封書など)だけ | 書面 または電磁的記録 |
| 効力が生じる時 | 書面を出した時 | 書面・電磁的記録とも、出した時 |
国民生活センターは、電磁的記録の例として次のものを挙げています。
- 電子メール
- USBメモリなどの記録媒体
- 事業者がウェブサイトに設けたクーリング・オフ専用フォーム
- FAX
つまり、お客様が8日以内にメールを送れば、お店がそれを読んだのが9日目でも、クーリング・オフは成立します。
サロンが準備すること
1. 契約書面・概要書面の文言を「書面又は電磁的記録により」にする
消費者庁は、契約書面などに「書面又は電磁的記録により」クーリング・オフができる旨を書くよう求めています。

- 変更前の例:「契約書面を受領した日から起算して8日以内であれば、書面により契約を解除することができます。」
- 今の例:「契約書面を受領した日から起算して8日以内であれば、書面又は電磁的記録により契約を解除することができます。」
開業前に買いそろえた書式や、昔から使っている書式が古い文言のままになっていないか、必ず確かめましょう。
2. 受け付ける窓口を書いておく
消費者庁は、事業者が合理的な範囲で、確認しやすい通知の方法を示すことは問題ないとしています。たとえば、契約書面に「電子メールで通知する場合は、次のアドレスへお送りください」と書いておく方法です。
3. 受付の方法を不合理にしぼらない
一方で、通知の方法を一方的に不合理なものに限ることは、消費者に不利な特約として無効になると考えられています。消費者庁は、次のような例を挙げています。
- 契約までのやりとりにSNSを使ったのに、そのSNSでのクーリング・オフを受け付けない
予約や連絡にLINEなどを使っているサロンは、その窓口に届いた通知も受け付ける前提で準備しましょう。
4. 受け付けたら、お客様に連絡する
トラブルを防ぐため、クーリング・オフを受け付けたことをお客様に連絡するのが望ましいとされています。誰が受け取っても同じ対応ができるよう、スタッフ向けの手順を決めておきましょう。
書面に不備があると、8日を過ぎても解除される

国民生活センターは、書面の記載内容に不備があるときは、決められた期間を過ぎていてもクーリング・オフできる場合があると案内しています。
古い文言の書面を使っていると、8日を過ぎたあとでも、施術済みの分まで含めて全額返金になるおそれがあります。契約書の見直しは、開業準備のチェックリストに入れておきましょう。
契約書面を電子で渡すときの注意(2023年6月から)
2023年6月1日からは、お客様の承諾を得れば、契約書面に書く内容を電子メールなどで渡せるようになりました。ただし、紙で渡すのが原則です。承諾の前に決められた説明と確認が必要で、手続きに不備があると「書面を渡した」ことになりません。電子化を考えるときは、消費者庁の事業者向け資料を確認しましょう。
そもそもトラブルを減らす料金設計
クーリング・オフや中途解約は、お客様を守るための大切なルールです。お店側は、ルールを守ったうえで、トラブルが起きにくい料金の形を選ぶこともできます。
私たちのサロンは、1回ごとに払う都度払いを中心にしています。前受金が少ないので、返金が重なってもお店の資金が苦しくなりにくいのが利点です。料金の決め方は「料金の決め方」で紹介しています。
まとめ
- 脱毛のコース契約が1か月を超えて5万円を超えると、クーリング・オフの対象になります。
- 期間は書面を受け取った日から8日以内。施術を受けていても、お客様の支払いはゼロです。
- 2022年6月1日から、お客様は電子メール・専用フォーム・FAXなどでも通知できます。出した時に効力が生じます。
- 契約書面などには「書面又は電磁的記録により」と書きます。古い文言のままだと、期間を過ぎても解除されるおそれがあります。
- 受付窓口を書いておき、通知の方法を不合理にしぼらないようにしましょう。
法律の判断は、個別の事情によって変わります。実際の契約書づくりや判断は、弁護士など専門家にご確認ください。
参考
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/
- 国民生活センター「クーリング・オフ」 https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html
- 消費者庁「令和3年特定商取引法・預託法等改正に係る令和4年6月1日施行に向けた事業者説明会」資料 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2021/assets/consumer_transaction_cms202_220322_01.pdf
- 消費者庁「令和3年特定商取引法・預託法等改正に係る令和5年6月1日施行に向けた事業者説明会」資料 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2021/assets/consumer_transaction_cms101_230809_01.pdf
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